国見のNEW体験コンテンツ開発記
白濵えりか
雲仙市国見町の神代小路は、平成17年7月に国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定された9.8ヘクタールの住宅地。翌年の平成18年には、平成18年度都市景観大賞「美しいまちなみ大賞」を受賞しました。緋寒桜で知られる鍋島邸をはじめ、格式高い武家屋敷の永松邸などが点在し、江戸時代の区割りを現代に残す風情あるエリアです。
鍋島邸とは、佐賀藩神代領の領主鍋島氏の陣屋跡に建てられた邸宅です。主屋は中庭を囲んで建つ玄関部、客間部、居間部、家政部で構成され、昭和5年に建てられました。各建物は和室を基本とし、要所に座敷飾りを備え、天井や板欄間など各部の造作も丁寧なつくりとなっており、保存地区の中核施設として、高い価値が認められています。
今回は古き良きロマンが感じられる鍋島邸で歴史ガイドをしている今村さんについてご紹介いたします。
今村さんのガイドは他と少し変わっています。一般的なガイドは、展示品や関連する資料、写真などを見せながらお話をしていきます。ですが、今村さんには特徴的なアイテムがもう一つ。それが「お手製の三線」。
こちらをよく見るとハロー◯ティーちゃんのクッキー缶で作られているのです!なんとも斬新かつ面白いアイデアですね。歌うのがお好きな今村さんは、単純に話してガイドをするだけではお客様がつまらないと感じるかもしれない…と思い、神代について楽しく学んでほしいという想いから、手作り三線でのガイドを始めたそうです。
お手製三線の軽やかなメロディに合わせての歴史ガイドは、日本中どこを探しても今村さんだけなのではないでしょうか。
さらに今回初公開!講談も披露してくださいました。練習してまだ1週間とのことでしたが、手作り張扇と三線を片手にお話してくださいました。
ちょこっとだけ今村さんのガイド内容をご紹介!歴史についてはネタバレになってしまうので、建物について。
鍋島邸はほとんどが栂(つが)の木で作られているそうです。栂の木は針葉樹の中でも最も重硬中な木質であり、耐久性に優れているのだとか。香川県にある丸亀城天守閣の床材にも使用されているそうです。現在、国産のものはほとんどなく、米栂(アメリカ産)のものが多く流通しています。分かる方には分かる、とても貴重な木なのです。
また、建物の一部には鉄刀木(たがやさん)が使用されています。こちらも木材として硬い材であり、耐久性も持っているのが特徴。 非常に重い材であるところから、鉄の刀のようだということで鉄刀木と呼ばれるようになりました。鉄刀木も日本の建築材の中でも高価な木材なのだそうです。
このように、鍋島邸は古い歴史があるだけでなく、建物の細部もこだわって作られているのです。今日では機械や技術が発達し、作業も幾分しやすくなっているかと思いますが、昔の大工さん達の技術や工夫は素晴らしいと今村さんはお話されました。
この日はあいにく曇りでしたが、窓から見える庭園はとても素敵でした。緋寒桜が咲く時期にも来てみたいですね!
今回のトライアルでは、良かった点や改善点等さまざまな意見が出てきました。
・歴史に詳しい人ばかりが来る訳ではないため、ガイドに出てくる登場人物を減らした方がいい
・手作り三味線はとても味があって素敵なのでそのまま使いたい!
・はじめに自己紹介があるとお客様も安心する(どんな人がガイドしてくれるか分かる)
・ストーリーを元にどんな衣装にするかを考える
などなど・・・。他にも参考になる意見が出てきました。
今後、これらの意見を元にブラッシュアップしていき、今村さんのガイドをより多くの方に見て、学んで、楽しんでいただけるコンテンツに仕上げていきたいと思っております。
今村さんはお話が大好きで、ユーモアのある方なので、これから衣装や見せ方を作り込んでいくことで、さらに今村さんの魅力を引き出していきます!我々もとても楽しみです。
今村さんの今後に、乞うご期待!!!