自然と歴史が織り成すロマンを辿る③~雲仙のおもてなし~
堀口治香
明治から昭和にかけて、夏の雲仙には多くの外国人が滞在していました。暑さと喧騒から逃れ、豊かな自然を堪能していたそうです。そんな外国人たちが辿った、雲仙への道のりを追うツアーが作られようとしています!
前回の記事はこちら!↓
今はなき幻の航路
昔の通りに辿れば、本来は茂木港から小浜へ船で渡るルートがメインなのですが、
現在は茂木港から小浜行きの船は出ておらず…残念ですが海を渡るのは諦めなければいけません。
今回は車で岸沿いにぐるりと小浜まで行くことにしました。
↓青い点線が昔あった海路。今回は赤い線のコースで臨みます。
↓海岸沿いを走り、雲仙市にある千々石(ちぢわ)の海岸まで来ました。旧小浜鉄道の駅の石碑もあります。
明治時代後期には、千々石にもホテルができていて、観光客は雲仙に上る前に一旦宿泊&休憩をしていたそうです。
↓千々石ホテルの跡地。門柱がそのままになっていて、説明の看板もあります。
今では「ホテル跡公園」という名前で誰でも入ることのできる公園になっています。
千々石にこんな場所があるとは知りませんでした!
旧小浜鉄道跡を通って小浜へ向かいます。
↓途中、小浜町にある富津港を見学。当時の写真と見比べてみると海にはりだした松林や岸の輪郭がそのまま残っています。
選んで蒸して美味い!ランチタイム
小浜にある鮮魚店でお昼の食材を購入します。
イサキ、イラ、キス、イトヨリダイ、ハモ、カツオ、鯛、芝エビ…
いろんなお魚が鮮度マックスの状態で並んでおります。
正直種類がありすぎてどれを選んでいいのか分かりません。お魚屋さんにお任せで選んでもらいます。
↓ぴかぴかのお魚を目にして興奮気味の一行。
↓蒸気屋というお宿の蒸し窯を使用し、お魚をまるごと蒸します!
↓素材のまま温泉の蒸気で蒸しあげたお昼ご飯です。
小浜の温泉は塩化ナトリウム泉なのでほんのり塩味がします。身がふっくらしていて美味しい!
各々好きな味付けでいただきます。
お昼を終えたら一路雲仙温泉街へ。
Welcome to 雲仙
昔、雲仙の人たちは、外国人のお客様をチェアかごという乗り物に乗せて4人がかりで運んだそうです。
日本式のかごが小さすぎた外国人のためにあつらえたのだとか。
時代ならではの工夫とおもてなしが散りばめられています。
↓お山の情報館別館に展示してあるチェアかごの模型。
小浜から雲仙に向かう道の途中にある駕立場(かごたてば)という場所は、まさにそのチェアかごの休憩地点でした。
今でも「駕立場」という看板と、チェアかごを模したオブジェが飾られています。
↓チェアかご(オブジェ)を体験するみなさん。
ツアーでは、このチェアかごを何らかの形で体験してもらいたいと検討中です。
ここまで上ってくると空気が涼しく感じられます。
ほどなく雲仙温泉街に到着。まず向かった先は雲仙観光ホテルです。
当ホテルは昭和の初め頃、外国人向けホテルが日本各地に建設された時に開業したホテルで、
伝統的なスイスの建築様式を取り入れているそうです。
↓今でも当時の面影そのままです。
特別に中を見せていただきました。
バークガフニ先生曰く、この建物を見るだけで、故郷のカナダの空気を思い出すのだとか。
どっしりとした木材をふんだんに使用した重厚感漂う建物。
日本の家とは全然違う雰囲気を醸し出しています。流石、本格洋風建築です!
↓ドアノブは背の高い外国人のために高い位置につけてあります。
↓歴史深い調度品がたくさん見られる客室。まるで博物館みたいな空間ですが今でも実際に泊まることができます。わくわくしますね。
↓絨毯が敷き詰められたロビーと階段は洋式ホテルならでは。
↓高い天井のダイニング。昔はダンスやコンサートが開かれていたんだそう。
↓ホテルのダイニングに佇みにこやかにほほ笑むバークガフニ先生。
当時の外国人観光客もここで食事やお茶をしながらゆったり過ごしていたでしょう。
↓雲仙観光ホテルのスタッフさんと話しながら、当ホテルへの知見を深める一同。
ツアー造成へ本格スタート
↓雲仙ゴルフ場にて涼しい風を浴びながらツアー下見はフィニッシュ。
実際に想定したツアールートを辿ってみると、思ってもみなかったところで素敵な景色に出会えたり、
先生やガイドさんの説明が加わることによって一気に面白い道のりになったりと、素晴らしい発見がありました。
一方で、道が狭くて通りづらいところや、時間が長すぎて退屈しそうな所など、
改善した方がよさそうな所も細かくわかってきました。
現地を訪れての実感はとても大切です。この下見を活かしながら、さらに練り上げたツアーを作っていきたいと思います!
続報をお楽しみに。