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仁田峠の活用

中村 星斗

地元大学生と実施、県内で一番空に近い「天空のカフェ」

雲仙温泉を過ぎて登っていくと現れる、四季折々に美しい「仁田峠」。
格別の景色が間近で楽しめるロープウエイですが、来場者数の減少が続いています。
このプロジェクトは、車で行けるスポットとしては県内一標高の高い場所、美しい景色のある仁田峠をもっと雲仙観光に生かそうという取り組みです。

試験的に実施した「天空のカフェ」

雲仙ロープウエイと雲のなかカフェ(雲仙温泉)、長崎大学経済学部鶴崎ゼミの学生が共同で企画した「天空のカフェ」。
ロープウエイ終点の展望デッキで、景色をゆっくりと楽しめる座席を設け、パンケーキやコーヒー、雲仙茶を提供するというもので、2020年11月16日に試験的に実施され、訪れた観光客からは大好評でした。

仁田峠のこれまでとこれから

雲仙ロープウェイに入社して33年の本多浩二さんに話を聞きました。
「仁田峠は春のミヤマキリシマ、夏のヤマボウシ、秋は紅葉、冬は霧氷と一年中特別な景色に出会える場所。しかし旅の形が変わった現在、利用者の減少は深刻です。

仁田峠には十数年前までは食堂がありましたが、それ以降飲食の提供は行ってきませんでした。この特別な環境を生かした新しい取り組みが必要不可欠と感じています。
天空のカフェ当日は、お客さまのたくさんの笑顔に出会えました。アンケートなどで情報収集を重ねて、今後もよりよい形で実施していければいいなと思っています。
夏には県内一高い所でのビアガーデンなんかやるのも、最高だろうなと思っています」。

雲の中カフェ 武田和敏さんは「雲仙の特等席みたいな仁田峠で、カフェのお手伝いができて光栄でした。登山をしない方でも景色を存分に味わっていただく方法として、お茶をするという選択肢があるのはステキだと思います。
今後は新メニューの開発をして、仁田峠でしか味わえないスイーツなど提供していければと思っています」と話します。

大学生たちの思い

長崎大学経済学部 鶴崎ゼミの3年生4人が中心となって、6月から話し合い、7月に現地視察、ヒアリングを経て11月試験的実施にこぎつけた天空のカフェ。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、4~6月はゼミ活動ができないなか、その間もそれぞれ自宅でアイデア出しをしていたと言います。

「暑い夏の日、仁田峠を訪れるととても涼しく目線に雲があるのが感動的で、この景色をもっとゆっくり楽しめたらと思ったんです」
「雲仙温泉までドライブに行くという大学生は多いものの、仁田峠の存在を知らない人が多かったので、もったいないなと」
「山の上なので天候が不安定だということ、施設の老朽化が激しいということなど、手をつけようのない問題がある中で、いかにお客さんに楽しんでもらえるかを考えました」など、言葉の端々に仁田峠への熱い思いを感じます。

「今後の課題としては、告知の方法、子どもも楽しめるカフェメニューの検討、お客さんの年齢や好みに合わせた内容の検討など。
来年度には次の3年生に引き継ぐことになりますが、よりよい天空のカフェを継続し、来場者数増に貢献できればと考えています」。

「雲仙といえば仁田峠、と誰もが口にするようになることが目標です」と話す大学生たちの輝く瞳が印象的でした。

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