ワーケーション・関連プログラム開発
中村 星斗
雲仙を「家族みんなが楽しい」ワーケーションの聖地にしよう
コロナ禍で注目が高まっているワーケーション(仕事[ワーク]+休暇[バケーション]の造語)とは、休暇を過ごす旅先で仕事(リモートワーク)も行うという新しい働き方のこと。
雲仙を、ワーケーションする人だけでなく、その家族も一緒に訪れて楽しむことのできる場所にしようと、雲仙市と各宿泊施設が連携しながら整備・取り組みを始めています。
雲仙はワーケーションに最適
仕事に疲れたら温泉で心も体もリラックス。そんな理想的なワーケーションができるとあって、全国的に温泉地が人気です。
国立公園を中心とした豊かな自然、良質の温泉がある静かな雲仙は、仕事もリラックスもできるワーケーションに最適の環境。
雲仙温泉ではかつて保養所だった建物が、コワーキングスペース(さまざまな人が使用できる仕事場)として生まれ変わる予定です。[2021年夏完成予定]
ワーケーションを行う本人だけでなく、家族も一緒に訪れて楽しんでほしいと、親子で楽しめる体験プログラムの準備も進んでいます。
始動した宿泊施設
(事例)ゆやど雲仙新湯
新型コロナ感染症の拡大後、ワーケーションで連泊される県外のお客さまが目立つようになり、ニーズの高まりを肌で感じています。止むを得ず休館する時期もあったのですが、その間にスタッフと協力しながら以下のようなワーケーション向けの整備を進めてきました。
1)インターネット環境の整備(客室ごとのパスワード付きwi-fi)
セキュリティ面でも安心の環境を整備しました。
2)カフェスペースのリニューアル(コワーキングスペースとして)
機材や資料が広げやすいテーブルには電源タップ、USBケーブルも設置。
中央には高さのあるエアープランツが飾られ、仕事に集中できる空間です。
3)“15MILE GUIDE BOOK”オリジナルの島原半島ガイド(アクティビティの提案)
市販のガイドブックには中々紹介されないものの、島原半島には隠れた訪れるべき場所が満載。
当館スタッフお勧めの場所をご紹介したオリジナルのガイドブックを宿泊客限定でご提供しております。
2020年12月にワーケーションプランの特設ホームページを立ち上げ、翌年1月から本稼働しています。お客さまの声をいただきながら、よりよいおもてなしを提供していきたいと考えています。
(事例)雲仙福田屋
これまでは年配のお客さまが多かったのですが、実際に働き盛り世代の長期滞在のお客さまが増えました。2021年3月を目標に客室やレストランの整備を進めています。
個人での利用はもちろん、課全体・プロジェクトメンバー全体でのグループワーケーションも想定した準備として以下のようなことを行なっています。
1)インターネット環境の整備(客室ごとのパスワード付きwi-fi)
客室、カフェスペースにパスワード付きのwi-fi環境を整備しました。
2)3部屋の専用客室を整備
グループ利用できるワーケーションスイート1室、個人向けのワーケーションスタンダード2室を準備しています。
3)ロビーに専用ブース設置、カフェスペースのリニューアル
ロビーの一角に、ドロップイン利用(飛び込みでの利用)ができる居心地のいいワーキングブースを作りました。カフェスペースは大幅リニューアルしコワーキングスペースとして利用できるよう整備しています。
長期滞在者に向けて、生活用品販売やコインランドリーなどの整備も視野に、利用者にとって心地のいい環境を提供できるよう準備を進めていきます。
求められる、滞在者の生活を想定した町全体の整備
これまで休暇を過ごすのに最適な環境を提供してきた雲仙温泉ですが、仕事環境を追加で整備すればワーケーションの準備完了、というわけにはいきません。
1週間以上の長期のワーケーションを想定すると、家族も一緒に楽しめる体験プログラムだけでなく、近くを散策するための交通手段(e-bikeなど)、生活用品を調達できる店、気軽に立ち寄れるカフェなど街全体の整備も必要。雲仙市・雲仙温泉観光協会・各宿泊施設が協働で取り組んでいる部分です。
家族向けのプログラム、企業への働きかけ
例えばお父さんが仕事をしている間に、お母さんと子どもたちで半島の野菜を楽しむ食育のプログラムに参加する。お父さんがオフの日は全員で国立公園の山を登る。ワーケーションの受け入れのためには、そういったプログラムの整備を急いで行わなければなりません。
個人ではもちろん、企業や課全体として家族同行で合宿するというワーケーションも想定されます。働き方改革、休み方改革については雲仙から企業への働きかけも必要。雲仙のワーケーション環境の整備が、社会を、生き方を変えるきっかけになるのかもしれません。